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構造解析(Structure Analysis)とは


          

構造解析(Structure Analysis)とは、有限要素法などによって解析する対象を小さな要素に分割して、各要素に働く応力を計算して求める解析手法です。計算した応力は、そのままでの状態(数字の羅列)では把握できないため、3次元画像に変換するソフトウェアと組み合わせて使われます。

機械工学便覧などの計算式を使って応力やひずみを計算できるのは、片持ち梁などの単純形状に限定されています。CAE(computer aided engineering)を利用した解析により、複雑な形状や大規模な構造でも応力やひずみなどが計算できるようになります。

          

構造解析はどんな場面で役立つ?

  • 設計が使用目的に適していることを確認
  • 破壊試験を行わなくても安全に使用できることを確認
  • 設計の効率化とエンジニアリング導入

構造解析が使われる設計分野には、機械、航空、船舶、圧力容器、タンク、橋、橋梁、ビルディングなど多様な分野があり、構造解析を活用することで安全で使いやすく、デザインに優れた製品を生み出すことができるようになります。


構造解析の流れ


構造解析では、3DCADで作成した3次元図形を基にして、対象物の応力等をコンピューターで計算します。解析専門のソフトウェアもありますが、ミドルレンジ以上の3DCADソフトの多くでは、オプションで構造解析ソフトを購入することができ、3DCADによる設計と構造解析をシームレス(継ぎ目なし)に使うことができます。

3DCADソフトと解析ソフトが別であれば、3DCADで作成した形状をIGESやSTEPのような中間ファイル形式に変換してから、解析ソフトウェアに取り込む必要があります。

  1. 3DCADで3次元図形を作成して、IGES、STEP等のファイル形式に変換
  2. 3次元図形を解析ソフトにインポートして、メッシュを作成
  3. 圧力や荷重、拘束条件を指定して解析実施
  4. 解析データを可視化して、応力を把握

ここでは、競技用の自転車フレームの構造解析例を紹介しています。ロードバイクのフレームは、”軽量化”と”壊れにくい(剛性の高い)”という相反する性質を両立させなければなりません。カーボンフレームの成形が必要なロードバイクは、破壊試験を繰り返しながら設計する手法では、開発期間が長くなりコストが高くなるため、CAEによる設計が主流となっています。

     

構造解析

構造解析サービス
  • 応力の把握
  • 安全率と許容応力の検討
  • 3Dによるデータ可視化
  • 破壊予想

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熱解析

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  • 温度分布
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  • 多種の材料に対応

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流体解析

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  • エアロ形状の設計
  • 流体シミュレーション
  • 圧力・流速の数値化
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自転車のフレームを構造解析


①3DCADで解析対象形状を作成

ロードバイクーのシャア専用フレーム赤

現在の競技用自転車のフレームはカーボン複合材が主流になっています。エアロ形状を採用しているフレームの断面は涙滴型になっています。

②メッシュ作成

3DCADの形状データからメッシュ作成

メッシュは細かいほど計算精度が上がりますが、コンピューターの処理能力によっては計算できないこともあります。また、3DCADで作成した対象形状の形状によっては、メッシュが作成できないこともあります。

③荷重条件等の設定

荷重条件と拘束条件を設定する

構想句条件(動かないようにX,Y,Z軸に対して固定する箇所)と荷重条件を設定します。この解析例では、70kgの人が全体重をシートポストにかけることを想定して条件を設定しています。また、フレーム自体に重力荷重を設定しています。

④解析データの可視化

構造解析による自転車フレームの解析結果
応力の高い箇所はオレンジ色、低い箇所は青色で表示されている

解析データを可視化して表示します。表示しているのはミーゼス応力で、応力の集中箇所はオレンジ色、逆に応力の低い箇所は青色で表示しています。


構造解析を成功させるコツ


構造解析の流れを見ると簡単そうに見えますが、解析に失敗することもあります。解析を成功させるポイントは次の4つです。

  1. 3DCADで細かすぎる形状を製作しない
  2. 解析に必要な箇所を選択する
  3. パソコンのメモリは16GBを推奨
  4. 荒いメッシュからはじめて、段々メッシュサイズを細かくする

①細かすぎる形状はメッシュ作成のエラーにつながります。例えば、R0.25などと半径を細かくすると、メッシュ作成に失敗する可能性が高くなります。

②一般的なパソコンに解析ソフトをインストールして使う場合は、解析する対象物が大きくなると計算が追いつかなくなりエラーします。そのため、解析に必要な箇所を選択して計算量を減らします。

③2016年時点では、ハイエンドの解析ソフトで使用できるメモリ領域の上限は16GBです。解析する要素数が多くなるとメモリ不足で計算が止まってしまうため、必要なメモリを確保する必要があります。

④構造解析は最初の1回目で正確な値を算出できる可能性は低いので、メシュサイズや解析条件を変えながら何回も検証する必要がありあす。


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