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複合材をCAEで設計する


          

古くから異なる性質を持つ材料を組み合わせて、互いの長所を活かすものづくりが行われてきました。

例えば、日本刀では硬い鋼と軟らかい鋼という性質の異なる鋼材を交互に重ねて、平たく打ち延ばしています。切るためには硬さが必要ですが、硬い鋼材だけで構成された刀は、曲がらないため折れやすくなります。

そこで、軟らかい心鉄を硬い皮鉄と鋼で覆うことで、切れ味と剛性を両立させています。

本三枚(鋼材の積層方法)

軟らかい鋼材と硬い鋼材を重ねた日本刀の構造

日本刀

切れ味と剛性を兼ね揃えた日本刀

軟らかい鋼と硬い鋼の重ね方には多くの種類があり、時代や刀匠によって異なっています。本三牧は心鉄を硬い3つの鋼材で覆う構成方法です。

          

繊維強化プラスチックと鋼材を組み合わせる


日本刀の場合は、軟らかい、硬いという違いはあるものの、同じ鋼材を積層しています。そのため、熱を加えて打ち延ばせば、金属原子が互いに結合して一体化します。

同じ金属の組み合わせ以外は一体化しないと思われがちですが、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック )、KFRP(ケブラー繊維強化プラスチック)といった繊維複合材も、鋼材を組み合わせて一体化させることができます。

繊維強化プラスチックは、引張強度が鋼材より大きく、さらに軽いという特徴があるため、航空機やスポーツカーの構造材として採用、使われるようになってきました。

ここでは、鋼材と繊維強化プラスチックを組み合わせた場合の応力-ひずみ曲線について紹介しています。繊維強化プラスチックを組み合わせれば、どのような長所が生まれるのか紹介します。

各種材料の機械的特性

引張強度(MPa) ヤング率(GPa) 密度(g/cm3)
炭素鋼 400 206 7.9
高張力鋼 1,400 206 7.8
ステンレス鋼 520 197 8.0
FRP 1,000 40 2.2
CFRP 2,000 160 1.6
KFRP 1,500 80 1.4

参考文献:第3版 航空宇宙便覧 日本航空宇宙学会(2005年)

     

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応力とひずみの関係


金属材料の応力-ひずみ曲線は左図のようになります。降伏点(耐力)までは弾性変形しますが、材料の降伏後は伸びたまま元の形状に戻らなくなる塑性変形が発生します。

一方、繊維強化プラスチックでは、応力-ひずみ曲線は直線になり、降伏点は存在していません。破壊されるギリギリまで弾性変形するため、荷重を取り除くと元の形状に戻ります。

鋼材の応力-ひずみ曲線

鋼材の応力ひずみ曲線

繊維強化プラスチックの応力-ひずみ曲線

繊維強化プラスチックの応力ひずみ曲線
 

組み合わせると応力-ひずみ曲線はどうなる?


鋼材と繊維強化プラスチックを組み合わせると、下図のような応力-ひずみ線図になります。

鋼材が降伏すると、応力-ひずみ曲線は折れ曲がりますが、破壊されるまで弾性変形します。つまり、鋼材の降伏点を超える応力がかかったとしても、荷重を取り除けばプラスチックのように元の形状に戻ることになります。

金属と繊維強化プラスチックを組み合わせた場合の応力ひずみ曲線

例えばSS400(一般構造用圧延鋼材炭素鋼)では、降伏点が245Mpa、許容応力が100MPa(JIS G3101 1995)に設定されています。そのため、245MPaまでの応力がかかっても問題ないはずですが、許容応力の100MPa以下で設計する必要があります。

一方、繊維強化プラスチックを組み合わせると塑性域がなくなるため、塑性変形を気にせずに使用できるようになります。鋼材の降伏点を超える応力がかかっても弾性変形するようになるため、許容応力を100MPa以上に設定することが可能になります。


繊維強化プラスチックで製造後の補強が可能に!


製造後に補強が必要になった場合は、繊維強化プラスチックのパーツが活躍します。樹脂の力によって鋼材と接着するために、火花の出る溶接は必要ありません。

繊維強化プラスチックのパーツを樹脂で貼り付けることで補強できるので、当初の設計より強度を高めるといったことも可能になります。製品として使用している最中に補強ができるため、コンコルドの墜落事故後に燃料タンクをKFRPで補強するといった使われ方をしています。

繊維強化プラスチックは樹脂で接着するので溶接は必要ありません。

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