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流体解析(CFD)とは


          

このページでは流体解析で何ができるのか「KDYのロゴ」を使って説明します。流体解析の理論について理解するには数学の知識が必要になりますが、数学についてで説明すると内容が堅苦しくなるので、今回は数学を使わずに解析手順とシミュレーション結果を紹介します。

流体解析に限らずCAEによるシミュレーションでは計算による誤差が生じるため、実験によって得られた値と解析値を比較する必要があります。「コンピューターによる流体解析のシミュレーションは、まだ風洞実験に取って代わる存在にはなっていない」とwikipediaに記載されていますが、高層ビルの風下の風速実測値とシミュレーション結果はかなり近似することが確かめられました。そのため、都市部の高層ビル周辺の風の流れなどの用途においては、十分に実用レベルに達していると考えられます。

流体解析は風の当たる物体だけではなく空間も解析する必要があるため、解析するメッシュ数が多くなり、その結果計算量が増大します。そのため、流体解析にはスーパーコンピューターがよく用いられます。今回の解析では、解析するメッシュ数が約185万という大きな数になっていますが、並列コンピューティングを活用しているので8コア使用してメッシュ作成に10分程度、解析に15分程度という短時間でシミュレーションが完了しています。


KDYのロゴ

KDYのロゴ

Fusion360を使って「KDY」というアルファベットの3Dモデルを作成しました。Fusion360ではレンダリング機能によって3Dモデルに色を付けることができますが、解析ソフトに取り込む際にSTEPまたはIGESファイルに変換する必要があります。

STEP等の中間ファイル形式に変換すると、色のデータはなくなってしまいます。そのため、解析ソフトに取り込んだ3Dモデルは単色で表示されます。


解析ソフトに3DCADモデルを取り込む

解析ソフトに3DCADモデルを取り込む
          

解析ソフトに取り込みメッシュ作成


流体解析では、空間を細かくメッシュに区切り、メッシュの頂点ごとに流速や圧力を計算します。今回は自動メッシュ作成機能を利用してメッシュを作成しましたが、思っていたより細かくなり、メッシュ数は約185万になったため、3Dモデルからメッシュを作成する時間は8コア使用して10分程度必要でした。

メッシュを細かく配置するほど解析結果は正確になりますが、メッシュ作成に必要なコンピューターの計算量が増えてしまいます。経験上どんなに性能の良いパソコンを使っても、1台では100万を超えるメッシュ作成は難しいため、メッシュを少なく(粗く)する必要があります。一方、並列コンピューティグでは、計算に複数のコアが使えるため、メッシュの数が多くても比較的短時間でメッシュ作成が完了します。


KDYのロゴと周りの空間をメッシュ化

KDYのロゴと周りの空間をメッシュ化

KDYのロゴと周辺の空間は細かいメッシュに区切られ、ロゴから離れるに従ってメッシュサイズが大きくなっています。ロゴを取り囲む空間の大きさは手動で設定しますが、今回は下流側の流れを詳細に調べる必要はないので、やや小さめの空間にしました。

     

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境界条件を設定


流体解析なので、風が吹き込む面(赤色)と吹き出る面(青色)を設定します。風速は60m/sに設定して、KDYのロゴ周辺の風の流れを解析します。

風速や風の入口、出口の設定は簡単にできるので、条件を変えて何度も流体解析シミュレーションをすることが可能です。


空気の入口

空気の入り口

空気の出口

空気の出口

空気の物性値を入力


今回の流体解析では空気の流れを解析するので、空気の物性値を入力します。

空気の密度は1.206kg/m3、動粘性係数の値は26.5℃の値である15.79☓10-6m2/sを使います。密度や動粘性係数の値は、熱物性ハンドブック(日本熱物性学会)を参考にしています。


材料 動粘性係数(m2/s) 密度(kg/m3
空気 15.79☓10-6 1.206

時系列で風の流れを確認


流体解析の結果を可視化して表示します。解析結果は無料で使うことができる「ParaView」を使って、流線を表示しています。流れの遅い箇所を青色、流れの速い箇所は赤色で表示しています。

時間が経過するとロゴに当たった風がつくる渦の位置が変わります。今回の流体解析では、0秒から100秒ごとに300秒まで風の流れをシミュレーションして表示しています。当然もっと長く時間経過をシミュレーションすることも可能ですが、計算量が増えるため300秒までの解析結果を表示しています。

アルファベット「K」の風下では、Kの背後の生じた圧力の低い空間に吸い込まれるため、ロゴのDの中間部分の風圧がほぼゼロになっています。


0秒後

0秒後

100秒後

100秒後

200秒後

200秒後

300病後

300病後

風の流れの解析と同時に、ロゴが受ける風圧も求めています。60m/sの風がKDYのロゴに当たった時の最大風圧は約2,480Paという結果になりました。赤く表示されている箇所が最も風圧を受ける箇所で、青色の箇所ではほとんど風圧を受けません。


風圧によって色分け

風圧によって色分け

風の流れを流線で表現することもできますが、平面を色分けすることで風速の強弱を表現することもできます。下図では、KDYのロゴに対して水辺面で空間をスライスして、風速を可視化しています。


水平面の風速を可視化

水平面の風速を可視化


流体解析の後処理(ポストプロセス)では、無料で使うことができる「ParaView」によって解析結果を可視化しています。流線や水平面のスライス画像によって、解析結果を分かりやすく表示することができます。

もちろん3Dで表示されるため、KDYのロゴを回転させて任意の方向から解析結果を確認できます。今回は流体解析なので流速や風圧をシミュレーションしていますが、構造解析と組み合わせることによって、風圧を受ける構造物が破壊されるかどうか調べるといった使い方もできます。


解析精度はどのくらい


構造解析の精度を確認するための1つの目安になるのがメッシュの粗さです。自動メッシュ作成を使っているので、KDYのロゴと周辺の空間には細かなメッシュが配置され、ロゴから離れるに従ってメッシュは粗くなるように設定されます。

アルファベット「Y」の下流を見ると、メッシュサイズが分かるほど1つのメッシュが大きく(粗く)なっていることが分かります。当然メッシュサイズが小さいほど解析精度は向上しますが、計算量が増えるためシミュレーションに用いるコンピューターを増やす必要があります。


水平面の流れを可視化

水平面の流れを可視化

並列コンピューティングによる流体解析であれば、計算に使用するコンピューターのコア数を簡単に増やすことができますが、メッシュを細かくするとコア数を増やしても計算に時間がかかります。今回はロゴ周辺の空気の流れを可視化することが目的なので、メッシュサイズは変更しません。

最初に粗いメッシュによるシミュレーションを行い、その結果を見て解析精度を把握してから、メッシュサイズの変更が必要かどうか判断します。メッシュサイズをより細かくすることで、希望する箇所のより詳細な解析結果を求めることが可能です。

上記のメッシュ数約185万のシミュレーションでは、計算に使用するコンピューターのコア数を8にすることで、15分もかからずに解析結果が得られています。

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