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振動解析で共振による揺れを解析


          

振動解析によって固有振動数を推定することで、共振を起こす周波数と揺れの大きい箇所を把握することができます。それぞれの物体には固有振動数があり、外部からの揺れが固有振動数に重なると、大きく揺れて(共振して)、破壊につながる可能性が大きくなります。

固有振動数は普遍の値ではなく、対象構造物の形状や重量などによって変わります。そのため、固有振動数を上げるための対策を施すことで、破壊のリスクを低減することが可能になります。対策方法には、剛性の向上、重量軽減、揺れ箇所の固定、支持材の設置などがあり、振動解析を利用すると振動を抑える最適な設計を行うことができます。

今回の振動解析例では、街でよく見かける郵便ポストの固有振動数を解析し、揺れを可視化します。


寸法

本体:
・高さ約52cm
・幅約35cm
・奥行約40cm

脚柱:
・高さ約81cm
・幅約11cm


寸法データは「郵政博物館 - 郵便ポストの移り変わり」を参照しました。

郵便ポスト

郵便ポスト
          

まずは固有振動数を把握する


固有振動数の解析では「モード」という言葉が登場します。解析ソフトによって異なりますが、一般的にモードが増えると縦振動、横振動、ねじり振動が加わるため複雑な揺れ方をします。

エンジンのような高速回転する物体では複雑な揺れ方をするので、モード10以上の固有振動数を確認する必要があります。一方、郵便ポストは地面に設置されているのでそれほど複雑な揺れ方をしないため、モード1~3の固有振動数を確認します。

固有振動数はモード1で18.8Hz、モード2で19.6Hz、モード3で24.7Hzという結果になりました。この結果から、20Hz付近の振動数で共振を起こして、郵便ポストは大きく揺れることがわかります。

郵便ポストの固有振動数

郵便ポストの固有振動数
     

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周波数応答解析で揺れを可視化する


固有振動数を調べた結果、郵便ポストは20Hz付近の周波数で共振を起こす可能性が高いことが判明しました。そこで、次に0Hzから100Hzまでの周波数範囲で、10Hz刻みの各周波数における郵便ポストの変位とひずみを調べてみます。

加振力を1Gに設定し、周波数応答解析により変位を可視化します。確認すると20Hz付近で変位が大きくなっており、共振して6.6mm変位するという解析結果になりました。

周波数と変位量

周波数応答解析で変位を調べる
 

変位を可視化


揺れが最も大きくなる20Hzとその前後の10Hz、30Hzの変位を可視化して表示します。変位の大きい箇所は赤色で表示され、小さい箇所は青色で表示されています。

変位を確認しやすいように、変位量を10倍にして表示しています。

10Hz

10Hzの変位を可視化する

20Hz

20Hzの変位を可視化する

30Hz

30Hzの変位を可視化する

大型の地震でも1Gの加振力が水平方向にかかることはまずありませんが、もし水平方向に1Gの加振力がかかるとすると、20Hzで最大6.6mm変位する解析結果になりました。


ひずみエネルギを可視化


次に、10Hz、20Hz、30Hzのひずみエネルギを可視化して表示します。ひずみエネルギの大きい箇所は赤色で表示され、小さい箇所は青色で表示されています。

ひずみエネルギは脚柱に集中していることが確認できますが、20Hzでは本体にもひずみエネルギの分布を確認できます。

10Hz

10Hzのひずみエネルギの分布

20Hz

20Hzのひずみエネルギの分布

30Hz

30Hzのひずみエネルギの分布

今回の解析では変位とひずみエネルギを可視化していますが、その他にも加速度、ミーゼス応力なども可視化することができます。


振動解析を使うメリット


振動解析を利用すると、実試験前に固有振動数を推定でき、また大きく振動する箇所が把握できるため、壊れにくく共振を起こしにくい構造にするための設計が可能になります。

また、振動対策で行う施策の効果を把握することも可能なので、剛性向上、減量、支持材の追加などの対策で最も効果的な方法を見つけるためにも、振動解析は非常に有効です。

このように多くのメリットがある振動解析ですが、解析誤差が存在するため条件設定と入力値によっては、振動解析の結果も大きく異なることがあります。そのため、振動解析単体で運用するのではなく、振動試験の実データと比較しながらシミュレーションの設定条件を検討する必要があります。


振動解析の手順

  1. 3DCADモデルの制作
  2. メッシュの作成
  3. 固有振動数の解析(共振する振動数の推定)
  4. 応答解析

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