スーパーコンピューターを用いた高精度、高速処理が可能なCAE

Home CAEについてもっと知る > メッシュの細かさと解析精度

メッシュの細かさと解析精度


          

メッシュを細かくすることで、解析精度が上がることはよく知られています。しかし、解析精度を上げるためにメッシュを細かくすればするほど、解析コストは上昇します。

構造解析では、応力を評価しなくてもよい領域が存在します。例えば、薄肉円筒容器(配管)に内圧がかかる場合、配管内面の応力が最大となるため、配管外側の応力は考慮しなくてもよくなります。

解析精度を上げながら、計算コストを下げるためには、応力集中部のメッシュを細かく切る必要がありますが、評価しなくてもよい箇所のメッシュは粗く切るように配慮する必要があります。


メッシュを均等に配置

メッシュをモデル全体に均等配置

内面に細かいメッシュを配置

応力集中部のメッシュは細かく切る
          

薄肉円筒容器(配管)の理論解


解析前に薄肉円筒容器(配管)にかかる最大周方向応力の理論解を求めます。圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG Sch40)が、3MPaの内圧を受ける場合の周方向応力を計算します。

周方向応力=内半径/板厚☓圧力で求めることができるため、式に数字を代入して計算します。

周方向応力(理論解)は、 51.15mm / 6mm☓3MPa=25.575MPaとなります。

圧力

・内圧:3MPa


寸法

・外径:114.3mm

・管厚:6mm

4B配管の外形図

4インチ配管の外形図
     

構造解析

構造解析サービス
  • 応力の把握
  • 安全率と許容応力の検討
  • 3Dによるデータ可視化
  • 破壊予想

構造解析 »


熱解析

熱解析サービス
  • スパコンでの高速計算
  • 温度分布
  • 熱流量
  • 多種の材料に対応

熱解析 »


流体解析

流体解析サービス
  • エアロ形状の設計
  • 流体シミュレーション
  • 圧力・流速の数値化
  • データの3D可視化

流体解析 »



自動作成したメッシュモデルの精度


最初にメッシュを自動作成したモデルの構造解析結果と理論解を比較して、自動作成機能によるメッシュの切り方が適切かどうか調べます。

自動作成したメッシュは、解析する対象物全体に均等に配置されます。使用しているソフトでは5段階でメッシュサイズを選択できるため、3/5(中間)と4/5(良い)の2種類のメッシュを自動作成して、理論解との誤差を調べます。

自動作成したメッシュ

自動作成によるメッシュはモデル全体に均等に配置されます

配管の断面とメッシュ配置

配管の断面とメッシュ配置
 

理論解との誤差


配管の両端を拘束しているため、固定している両端に高い応力が見られます。しかし、実際には固定端も弾性変形するため、両端の影響を避けることができる配管中心で応力を評価します。

応力は、内圧がかかる配管内面が最も高く、赤色で表示されています。一方、配管の外面は応力が低いことを示す青色の表示です。

配管全体の応力分布

配管全体の応力分布を可視化

配管を輪切りにして応力評価

配管を輪切りにして応力評価

理論解は25.575MPaなので、メッシュの密度によってどの程度の誤差が生じるのか調べてみます。

メッシュ密度 節点数 ミーゼス応力 誤差
自動作成(2mm) 12.0万 28.65MPa 12.0%
自動作成(1mm) 57.6万 26.26MPa 2.6%

メッシュを細かく切るか、メッシュの次数を上げると解析精度は良くなります。今回は自動作成した2種類のメッシュを比較のためそれぞれ構造解析していますが、予想される通り2mmのメッシュに比べて、より細かい1mmのメッシュは誤差が小さく計算精度が良くなっています。

もちろんメッシュが細かいほど計算精度は向上しますが、細かくするほと接点数は増えるため計算コストが増加します。接点数が12万のモデル(メッシュ2mm)では、計算に使用するコンピューターを4コアに設定して、15分の計算時間が必要でした。

一方、接点数が57万を超えるのモデル(メッシュ1mm)では、メモリー不足で計算が止まってしまうため、最終的に計算に使用するコア数を32コアまで上げる必要がありました。コア数を上げたため8分で計算は終了しましたが、並列コンピューティングを利用しないと計算時間が非常に長くなります。


評価点のメッシュを細かくする


最大応力は内圧がかかる配管内面が最大になります。そのため、配管内面には細かいメッシュが必要ですが、反対に配管外面の応力は評価する必要がないため、メッシュは少々粗くても問題ありません。

そこで応力の評価が必要な内面付近のメッシュを細かく、外面のメッシュを粗く切ったモデルを作成します。

メッシュ(1mm~)

内面の周囲のみ細かいメッシュ(1mm)を配置

メッシュ(0.5mm~)

内面の周囲のみ細かいメッシュ(0.5mm)を配置

最大応力には関係しない外面には粗いメッシュを配置することで、計算時間を短縮します。応力集中部のメッシュを細かくするモデルでは、どちらも計算に使用するコンピューターを8コアにすると、10分未満で計算が終わりました。

メッシュ密度 節点数 ミーゼス応力 誤差
応力集中部(1mm~) 21.7万 28.76MPa 12.4%
応力集中部(0.5mm~) 42.4万 26.34MPa 3.0%

応力の集中が予想される内面のメッシュを細かく切るモデルでも、内面のメッシュを細かくするほど、計算精度が上がることが確認できました。


メッシュ作成は自動より設計者が設定する


メッシュを自動で作成することもできますが、メッシュ作成時点では、プログラム側が応力集中箇所を事前に判断できないため、解析対象モデル全体に均等にメッシュが配置されます。

このような全体に均等にメッシュを配置したモデルでは、応力を評価する必要のない箇所まで細かいメッシュが配置されるため、解析精度が低いにもかかわらず、計算時間がかかってしまうという欠点があります。

解析精度を落とさずに計算時間を短くするためには、応力集中部のメッシュを他の部分より細かく切る必要があります。このメッシュ密度の設定は、解析者が応力集中部に配慮して行う必要があります。

メッシュ作成と解析の手順

  1. 粗いメッシュで応力集中部がどこになるのか把握
  2. メッシュの次数を1次から2次に上げる
  3. 応力集中部のメッシュを細かく切ったモデルを作成
  4. 構造解析を実行して応力を把握

関連するページ


1次要素と2次要素の違い

1次要素と2次要素によって片持ち梁のたわみ量を求め、理論値と比較することで精度を検証してみます。

1次要素と2次要素の違い »


 特異点による応力集中と最大応力の正しい評価法

応力特異点が存在する場合の最大応力の評価方について解説しています。

特異点による応力集中»


鋼材の応力ひずみ曲線

構造解析理解に必要な材料力学の知識-応力ひずみ曲線、降伏点などについて解説しています。

材料力学の理論»


CAE受託サービスで設計の効率化と競争力UP


KDYエンジニアリングでは、CAEによる設計支援サービスを行っています。CAEを使いこなすのは難しそうだと感じているお客様をトータルサポートでお手伝いします。

  • KDYエンジニアリングが対象図形の3DCADによる図形作成、解析の設定、解析結果の可視化までトータルで行うため、お客様には手間がかかりません。
  • スーパーコンピューターで解析を行うため、短時間で解析結果をご確認いただけます。
  • メンテナンス料金やソフトウェアの更新料がかかりません。必要な時に最適なサービスを選択してご利用いただけます。
構造解析による自転車フレームの解析結果

3DCADによる対象図形の作成から解析と解析結果の評価を組み合わせたサービスを1件10万円~のお得な価格でご利用いただけます。

解析の対象形状や設計の目的についてお気軽にご相談ください。構造解析・熱解析・流体解析などのサービスを組み合わせて、最適な解析をご提案いたします。


技術的なご相談・お問い合わせはこちらから »