Home > CAEについてもっと知る > CAEによる解析と成功に導く4つのポイント
CAE(Computer Aided Engineering)とは、コンピューターソフトウェアを使って解析を行うエンジニアリングの手法です。CAEには、構造解析、熱解析、流体解析などの様々な種類の解析があります。
昭和の時代はコンピューターの性能が低かったことから、例えば工学便覧に載っている計算式を用いて、近似する単純形状の数値を手計算で求めるアバウトな設計方法が主流でした。そのため、破壊荷重や破壊圧を検証するには、実機による破壊試験を行う必要がありました。その結果として、設計のリードタイムが長くなり、コストも増加します。
CAEを活用すればどんなメリットがある?
現在のコンピューターはCPU、GPUの性能が大幅に向上し、メモリ容量が増加しました。10年前であれば計算に一晩かかっていたモデルも、数十分で計算できるようになりました。
3DCADで作成したモデルを解析で使用します。モデルを小さな領域(メッシュ)に分割して、解析条件を決定すればコンピューターが計算してくれます。
解析作業自体はソフトウェアの使い方に慣れてしまえば難しくはありませんが、CAE結果が妥当かどうかは人間が判断する必要があります。
モデル作成から解析までの流れ
解析する対象が複雑・大規模であれば、スーパーコンピューターによる並列計算が効果を発揮します。解析データを可視化するツールとして、Paraviewと呼ばれるオープンソースのプログラムが公開されており、異なるCAEソフトの解析データでも利用することができます。
計算はスーパーコンピューターにさせて、結果を別のコンピューターから確認するといった使い方が可能なため、大規模計算機を保有していなくてもCAEが利用できます。
天国への近道は地獄への道を知ること
ということわざがあります。CAEによる解析結果は、手計算で確認するのは困難な場合が多いので、予め解析の失敗につながりやすいポイントを押さえておく事が大切です。
①3Dモデルの中間ファイル読み込みエラー&メッシュが作成できない
3DCADで作成したモデルをIGESやSTEPのような中間ファイルに変換する際に、細かすぎる形状であれば変換エラーが発生する可能性が高まります。上の例では、オレンジ矢印箇所をR0.2としていますが、ソルバーによるメッシュ作成過程でエラーが出ました。
②パソコン側の性能不足
メッシュを細かくするほどパソコンの処理速度とメモリ容量の影響を受けます。そのため、CPUにPentium、メモリーが4GBなどの一昔前のパソコンでは、計算時間が長く、さらにすぐメモリー容量が一杯となり途中で計算が止まってしまいます。
CAEのために使用するならば、CPUはi5以上、GPU搭載のメモリー16GBのBTOパソコンを選択することをおすすめします。
③メッシュサイズが粗すぎる
上図の例では、構造解析で求めたミーゼル応力を可視化しています。上記画像では応力の分布がまだらになっていることから、メッシュサイズが粗く十分な解析精度が出ていないと判断できます。
構造解析に限らず、メッシュサイズを最初から細くしすぎると計算時間が長くなるため、解析結果を検討しながらメッシュサイズを調整する必要があります。
④CAE特有の問題が発生することを理解する
例えば、構造解析では拘束面をX,Y,X軸に対して完全に固定するため、応力特異点が発生して最大応力が把握しづらくなってしまいます。なぜそうなるのかといった理由を理解していないと、解析結果の評価ミスにつながります。
ここまでCAEによる解析に多い様々なトラブルと対処法について紹介してきました。失敗につながりやすいポイントを意識することが、解析を成功させるための近道です。
2006年頃までは、コンピューターの性能が低かったこともあり、CAEを活用している会社は数百万円のソフトウェアを購入でき、なおかつ大型計算機を保有している会社に限られる傾向がありました。中小企業や個人設計者には、まだまだCAE活用は高値の花でした。
2016年では、CPUの開発は速度から、省電力化にシフトしています。また、解析ソフトウェアも使いやすくなり、コンピューターのコストも低下したことからユーザー層が拡大しています。
CAE活用の未来予想
①航空機やF1マシンなどの最先端技術の開発に活用されている流体解析も、利用コストが下がってきたことから、サーバールームのエアーフロー解析や高層ビルによる風環境の予想などの分野へ広がり始めました。このような新しい分野への適用が加速すると予想されます。
②パソコンの性能は向上しましたが、それでも解析するメッシュが多いと計算に何時間もかかったり、メモリー容量不足で止まってしまうことは珍しくありません。並列コンピューティングの利用コストが過去に比べて大幅に低下していることから、外部のスーパーコンピューター等を利用する解析需要の高まりが予想されます。
③アメリカ機械学会(ASME)は、2009年にCAEによる解析の妥当性の検証と評価についてのガイドラインを公表しています。技術基準として解析結果の評価手法が確立されれば、CAEは解析の専門家が使う特殊なツールから、標準化されたプロセスに従えば専門家以外でも使える汎用ツールに変化して利用が拡大すると予想されます。
KDYエンジニアリングでは、CAEによる設計支援サービスを行っています。CAEを使いこなすのは難しそうだと感じているお客様をトータルサポートでお手伝いします。
3DCADによる対象図形の作成から解析と解析結果の評価を組み合わせたサービスを1件10万円~のお得な価格でご利用いただけます。
解析の対象形状や設計の目的についてお気軽にご相談ください。構造解析・熱解析・流体解析などのサービスを組み合わせて、最適な解析をご提案いたします。