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構造解析を使わない昔の設計


          

第2次世界大戦では、スピットファイアやP-51などの名機と呼ばれるレシプロ戦闘機が活躍しました。日本の戦闘機ではゼロ戦が有名ですが、軽量化によって機体強度と剛性が低下するという戦闘機としては致命的な欠点を有していました。

当時の開発では、「上昇力:高度3000mまで3分30秒以内」というように仕様が先に決められていました。低馬力のエンジンで仕様を満たすために、誰でも思いつくような「肉抜き穴を多数開けて軽量化を図る」という安易な対策が取られました。

その結果、急旋回すると桁の変形により波打つ主翼、急降下すると空中分解するため速度制限が課されるなどの脆弱な機体になってしまいました。

スピットファイア

イギリス空軍のスピットファイア

ゼロ戦

ゼロ戦

現在の設計では、コンピューターを使って構造にかかる応力の解析が可能です。今回は、強度を落とさずに、ドローンのアームを軽量化するために構造解析を用いる事例を紹介します。

          

ドローンアームの軽量化と強度


ドローンを空中に浮かべるためには、当然ながらパーツの軽量化が必要になります。しかし、軽量化のために肉抜き穴を増やせば、機体強度に影響が出る可能性があります。

構造解析を用いて、肉抜き穴を開けたドローンのアームについて調べます。荷重条件は、アームの先端(下図右側)に上向きの荷重(赤矢印)を設定します。また、軽量化のためにABS樹脂製のアームに設定しました。

ドローンのアーム部分
     

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メッシュの作成


応力の集中が予想される箇所にはメッシュを細かく配置すると解析精度が良くなります。

そのため、肉抜き穴の周辺のメッシュを細かくしています。また、解析精度を上げるためメッシュは2次要素にし設定しています。メッシュの形状には四面体と六面体がありますが、肉抜き穴の周囲に曲線があるため、今回は四面体でメッシュを作成しました。

2次要素のメッシュを作成

解析のためのメッシュ作成
 

構造解析で応力分布を把握する


ミーゼス応力の分布は下図のようになります。応力の低い濃い青色箇所から、応力の高い赤色箇所まで、応力をカラーリングで表示しています。

ミーゼス応力の分布を見ると、アームの根元側(下図の左側)の角度が変化している箇所の応力が周囲より高くなっていることがわかります。ABC樹脂の引張強度は30~40MPaなので、今回の荷重条件では破断につながることはないと判断できます。

ミーゼス応力の表面分布

次は、アーム内部のミーゼス応力を見てみます。肉抜き穴のR箇所が少し高くなっていますが、引張強度より低い応力(約0.18MPa)なので、破断の心配はないことが確認できます。


パーツ内部のミーゼス応力を可視化して表示

変位量を確認する


荷重をかける前の状態が白色で表示しています。荷重後の変位が小さいため、変位量を100倍に拡大してカラーで表示しています。

上向きの荷重がかかるアームの右側が持ち上がっています。そのため、ドローンのアームの根本(左側)に応力がかかっているのが確認できます。

ドローンアームの変位量を可視化

CAEによる構造解析を用いる現在の設計では、強度と軽量化の両立が可能になります。十分な強度を維持しながら、どこまでの軽量化が可能かどうか判断できるようになったため、バランスの取れた設計ができます。

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