Home > 構造解析の流れと解析を成功させるための4つのポイント
構造解析(Structure Analysis)とは、有限要素法などによって解析する対象を小さな要素に分割して、各要素に働く応力を計算して求める解析手法です。計算した応力は、そのままでの状態(数字の羅列)では把握できないため、3次元画像に変換するソフトウェアと組み合わせて使われます。
機械工学便覧などの計算式を使って応力やひずみを計算できるのは、片持ち梁などの単純形状に限定されています。CAE(computer aided engineering)を利用した解析により、複雑な形状や大規模な構造でも応力やひずみなどが計算できるようになります。
構造解析はどんな場面で役立つ?
構造解析が使われる設計分野には、機械、航空、船舶、圧力容器、タンク、橋、橋梁、ビルディングなど多様な分野があり、構造解析を活用することで安全で使いやすく、デザインに優れた製品を生み出すことができるようになります。
構造解析では、3DCADで作成した3次元図形を基にして、対象物の応力等をコンピューターで計算します。解析専門のソフトウェアもありますが、ミドルレンジ以上の3DCADソフトの多くでは、オプションで構造解析ソフトを購入することができ、3DCADによる設計と構造解析をシームレス(継ぎ目なし)に使うことができます。
3DCADソフトと解析ソフトが別であれば、3DCADで作成した形状をIGESやSTEPのような中間ファイル形式に変換してから、解析ソフトウェアに取り込む必要があります。
ここでは、競技用の自転車フレームの構造解析例を紹介しています。ロードバイクのフレームは、”軽量化”と”壊れにくい(剛性の高い)”という相反する性質を両立させなければなりません。カーボンフレームの成形が必要なロードバイクは、破壊試験を繰り返しながら設計する手法では、開発期間が長くなりコストが高くなるため、CAEによる設計が主流となっています。
①3DCADで解析対象形状を作成
現在の競技用自転車のフレームはカーボン複合材が主流になっています。エアロ形状を採用しているフレームの断面は涙滴型になっています。
②メッシュ作成
メッシュは細かいほど計算精度が上がりますが、コンピューターの処理能力によっては計算できないこともあります。また、3DCADで作成した対象形状の形状によっては、メッシュが作成できないこともあります。
③荷重条件等の設定
構想句条件(動かないようにX,Y,Z軸に対して固定する箇所)と荷重条件を設定します。この解析例では、70kgの人が全体重をシートポストにかけることを想定して条件を設定しています。また、フレーム自体に重力荷重を設定しています。
④解析データの可視化
解析データを可視化して表示します。表示しているのはミーゼス応力で、応力の集中箇所はオレンジ色、逆に応力の低い箇所は青色で表示しています。
構造解析の流れを見ると簡単そうに見えますが、解析に失敗することもあります。解析を成功させるポイントは次の4つです。
①細かすぎる形状はメッシュ作成のエラーにつながります。例えば、R0.25などと半径を細かくすると、メッシュ作成に失敗する可能性が高くなります。
②一般的なパソコンに解析ソフトをインストールして使う場合は、解析する対象物が大きくなると計算が追いつかなくなりエラーします。そのため、解析に必要な箇所を選択して計算量を減らします。
③2016年時点では、ハイエンドの解析ソフトで使用できるメモリ領域の上限は16GBです。解析する要素数が多くなるとメモリ不足で計算が止まってしまうため、必要なメモリを確保する必要があります。
④構造解析は最初の1回目で正確な値を算出できる可能性は低いので、メシュサイズや解析条件を変えながら何回も検証する必要がありあす。
KDYエンジニアリングでは、CAEによる設計支援サービスを行っています。CAEを使いこなすのは難しそうだと感じているお客様をトータルサポートでお手伝いします。
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解析の対象形状や設計の目的についてお気軽にご相談ください。構造解析・熱解析・流体解析などのサービスを組み合わせて、最適な解析をご提案いたします。