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1次要素と2次要素で結果はどのぐらい違う?


          

CAE(Computer Aided Engineering)による応力解析では、メッシュサイズを細かくすればするほど、計算結果は理論値に近づいていきます。どの会社のCAEソフトを選択しても、コンピューターの性能を上げても、計算原理における本質的な違いはありません。

FEM(有限要素法)では、要素の数を増やすほど(メッシュを細かくするほど)正確な応力、たわみを計算することができます。ただし、メモリーの容量も無限大ではないので、メッシュを細かくするほど計算時間が長くなり、最悪の場合はメモリ不足で計算が止まってしまいます。

パソコンの処理能力に合わせて計算精度を落とすならば、CAEの利点が失われてしまいます。だからといって、スーパーコンピューターを使えば、いくらでもメッシュサイズを細かくすることはできますが、計算時間に比例したコストが発生します。

そこで、精度よく計算するために、メッシュサイズはそのままで、要素数を増やすことのできる2次要素を使用します。1次要素(first order)と2次要素(second order)によって片持ち梁のたわみ量を求め、理論値と比較することで精度を検証してみます。


4面体の1次要素と2次要素


4面体では、1次要素は三角形の頂点の4箇所を指します。ところで、もしも頂点と頂点を結ぶ線の中間点も要素に加えるとどうでしょうか?

中間点も加えた2次要素で計算すれば、同じ四面体でも要素数が4→10箇所になります。2次要素で計算すればメッシュサイズは同じでも要素数が増えるので、計算精度が高くなることになります。

4面体の1次要素と2次要素

同じメッシュサイズでも、1次要素と2次要素では要素数が異なります。

片持ち梁であれば、構造が単純なのでプログラムにメッシュ生成を任せても問題ありません。複雑な形状であれば、応力集中部のメッシュサイズだけ細かくするといった方法で計算時間を短縮することもできます。


片持ち梁のメッシュ生成

メッシュサイズが細かいということだけに気を取られてはいけません。メッシュが規則正しく並んでいることも重要です。


     

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片持ち梁のたわみ理論値


解析前に、片持ち梁のたわみ量の理論値を計算します。一般圧延用鋼材のSS400の片側を壁に固定して、反対側の末端面に1000Nの力を下向きにかける条件で計算します。

片持ち梁のたわみ計算

たわみや応力の計算では、単位の換算に加えて小数点の計算を行う必要があり、久しぶりに手計算をすると専門家でも桁ミスを連発します。初学者には手計算をすすめる方も多いのですが、目的は理論値を求めることなので、最初からソフトウェアを用いて計算してもいいのです。無料で利用できる工学計算ソフトの「Mathcad Express」を使えば、計算時のミスは防げます。


片持ち梁のたわみを計算


計算式と材料物性値は、機械設計便覧などの書籍やデータベースの形でインターネット上に公開されています。

もしも手計算でたわみを求める場合は、数mmになると予想できるので、計算では単位をmmにそろえて計算すると、単位換算時のミスを減らすことができます。


断面二次モーメント=(50mm×(20mm)3 ) / 12

=33,333mm4


先端のたわみ量

たわみ量=(1,000N×(500mm)3)/(3×206,000N/mm2×33,333mm4)

=(1.25×1011N・mm3)/(2.06×1010N・mm2)

6.068mm


理論値と1次要素・2次要素による計算結果


1次要素で計算した場合、メッシュサイズが細かくなるほど理論値に近づいていきます。しかし、メッシュサイズを2mmに設定してもまだ理論値を下回るたわみ量です。

一方、2次要素で計算した場合は、メッシュサイズが10mmでもかなり理論値に近い数字が算出されています。メッシュサイズ2mmの1次要素よりは、メッシュサイズ10mmの2次要素の方が計算量が少なくて済みます。そのため、曲げ応力がかかる梁などでは2次要素で計算すると、短い時間で正確な値が計算できます

もっともスーパーコンピューターで計算すれば、どのような条件でも短時間で結果が出ます。条件を一切考えず、ワンパターンに細かいメッシュサイズの2次要素で計算することもできるという事です。

メッシュサイズと1次要素と2次要素によるたわみ量の比較

2次要素では理論値と完全に一致


たわみの計算では、2次要素のメッシュで計算すれば、拘束条件(どこを固定するか)やメッシュサイズをあれこれ考えなくても、FEMの結果と理論値が一致する傾向にあります。

下の図はメッシュサイズ5mm(2次要素)で片持ち梁のたわみを計算した結果ですが、理論値の6.068mmとFEMの結果が完全に一致しています。

2次要素のメッシュで片持ち梁のたわみは理論値と一致

たわみを確認しやすくなるように強調して表示しています。


一方、応力では特異点が存在するため、拘束条件およびデータを取る点を検討しなければなりません。鋭角に角度が変化する部位や拘束面付近では、正確な応力が出ないことがあります。


メッシュサイズによる精度への影響


メッシュサイズを細かくするほど、計算精度は高くなります。しかし、最初から細かいメッシュで計算すると、メモリが足りずに計算が止まったり、計算に長時間待たされることになりかねません。

そのため、最初は板厚の半分程度のメッシュサイズから計算を始めて、徐々に細かいメッシュを生成するという方法で少なくとも3回は計算を行うことをおすすめします。計算を繰り返すと、ある一定の値に収束するため(グラフが寝る)、計算精度の目安にすることができます。


        

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