Home > CAEについてもっと知る > 構造解析結果の検証と妥当性確認
CAEによる構造解析では、ソフトウェアの使い方を覚えてしまえば手間がかからず、すぐに計算ができるというイメージがあります。
でもいざ解析してみると、解析結果が正確なのかどうかわからないと感じる経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、理論解や実験によって求めた値とシミュレーション結果を比較して、妥当性(Validation)を確認する必要があります。両者を比較して一致していない場合は、メッシュサイズや拘束条件・荷重条件などの解析条件が適切であるのか調べる(Verification)ことで、モデルを正しく解析しているかどうかを検証します。
Verification & Validation
理論解がすでにわかっている穴開き平板に対して構造解析を行い、シミュレーション結果が正しいかどうか調べてみます。
中心にある穴は、板に比べて比較的小さいので、穴周りに応力が集中することが予想されます。平板の下面に下向きの荷重(1000N)をかけると、穴から離れた箇所でy方向にかかる力(理論解)は、1000N/(100mm☓1mm)=10N/mm2となります。
また、応力集中の計算式により、穴周りでy方向にかかる力(理論解)は10N/mm2☓3=30N/mm2となります。
材料定数
・ヤング率:206GPa
・ポアソン比:0.3
寸法
・縦:200mm
・横:100mm
・板厚:1mm
穴開き平板の図面
最初にメッシュを自動作成したモデルのシミュレーション結果と理論解を比較して、構造解析の結果が適切かどうか調べます。
自動作成したメッシュは、応力集中が予想される穴の縁から離れた箇所までほぼ同じ要素サイズのメッシュが分布しています。平板のx軸上に並ぶ要素の応力を構造解析で計算して、算出されたy方向とx方向にかかる応力と理論解をそれぞれ比較することで妥当性を検証します。
自動作成したメッシュ
x軸上に並ぶ要素の応力を計算
穴の中心を0mmとし、x軸方向に並ぶ要素の応力をx方向とy方向でそれぞれ算出します。
y方向の応力は、シミュレーション結果が理論解にほぼ一致しているため、正しく計算できていると判断できます。
一方、x方向の応力は、穴から離れるにつれて低下している理論解と比べて、構造解析で求めた応力はほぼ一定の値(4MPa)になっています。また、穴から少し離れた箇所でピークが出るはずですが、構造解析の結果からはピーク箇所が判別できません。
y方向の応力
x方向の応力
理論解との比較
妥当性確認(Validation)の結果として、自動作成したメッシュモデルではx方向の応力が正確に計算できていないことがわかります。
穴周りの応力集中が予想されるため、穴の縁に細かいメッシュ(0.1mm)を配置し、穴から離れるにつれてメッシュサイズが粗くなるようにメッシュ密度を見直します。
穴周囲のメッシサイズを細かくしたモデルによる再シミュレーション結果と理論解を比較して妥当性を確認します。
y方向の応力は、再シミュレーション結果と理論解がほぼ一致しているため、メッシュ密度を変えたモデルにおいても正確に計算できていると判断できます。
一方、再シミュレーションの結果、x方向の応力は理論解とほぼ一致しました。つまり、メッシュ密度を見直すことで適切なシミュレーションが行えるようになり、シミュレーション結果が理論解と一致することが確認できました。
y方向の応力
x方向の応力
理論解との比較
構造解析では、シミュレーション結果と理論解・実験結果を比べることで、適切なモデル化ができているかどうか、および計算結果の妥当性を調べることができます。
妥当性確認(Validation)で一致していない場合は、メッシュサイズ・拘束条件・荷重条件等を見直すこと正しく解析できるようにします。
検証と妥当性確認の手順
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