熱解析(Thermal analysis)とは、熱の移動によって物体の温度、質量、体積、剛性、物性、寸法がどのように変化するか調べる方法です。熱解析には様々な方法がありますが、コンピューターの高性能化によって、構造物の温度や熱流量などを手軽に解析できるようになりました。
例えば、従来の温度測定は、設計後に制作した部品を温めて、どのように温度変化するか実際に計測する必要がありました。CAEを活用すれば、設計段階で材質を変更したり、寸法を変えたりしながら何度でも解析できるため、制作前にある程度最適な仕様を決めることができます。そのため、製品の性能試験回数を減らすことが可能になります。
コンピューターシミュレーションの利用により、材料選定の効率化、強度計算や物性の確認、製作コスト、製作納期などは大幅に改善されます。
コンピューターシミュレーションによる熱解析
3DCADで制作したモデルの材質や熱伝導率、内部温度等を設定し、温度分布を解析して3次元で表示します。もちろんコンピューターシミュレーションなので、計算自体は計算機が行いますが、きちんとした計算結果を出すには、材料や条件をいろいろ検討する必要があります。
材質
基盤用のプラスチック、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミ、コンクリート等なんでも解析できますが、内部が不均一な材料には向きません。
外気温
温度は高い方から低い方に移動するため、熱解析には外気温が必要です。外部の方が高温であれば、内側に向かって熱が移動することになります。
形状
3DCADのデータをそのままインポートして解析します。インポートできる形式はSTL、IGES、STEPの3種類です。
内部流体(発熱体)の温度
コンピューターチップなどの小さな物体から、圧力容器などの大型の物まで、大きさにかかわらず解析することができます。しかし、材料の上限温度を超える温度でも設定できてしまうため、例えばSS400(一般構造用圧延鋼材)であれば、350℃を超える温度域では、別の材料を選定する必要があります。また、熱解析と構造解析は同時にできないため、仕様を決める場合に条件を検討する必要があります。
3Dモデルの解析では、一般的に構造が複雑になるほどメッシュの作成が難しくなり、また計算が長時間に及ぶことも珍しくありません。
データを並列に処理できるスーパーコンピューターを使えば、短時間で計算が終わり結果をすぐに確認できます。また、計算で使用するコア数を増やせば、いくらでもメッシュサイズを細かくして、計算精度を高めることが可能です。普通のパソコンで解析を行う場合には、計算精度と計算時間のバランスを取る必要がありますが、KDYエンジニアリングでは、解析精度と時間短縮を両立させ、コストパフォーマンスのよい設計を行います。
構造が複雑でもシュミレーションが止まることはありません
温度分布
3Dモデルの温度分布を確認できます。冷却用のフィンプレートを取り付けたことにより、高温部分(赤)が少なくなったことが確認できます。
CAEの活用により、温度測定試験を行わなくても最適な形状を何度でも検討することができます。
熱流量
3Dモデル上で熱流量が確認できます。熱流量が高い箇所が赤色で表示されています。フィンプレートの位置と形状を調整することで、熱流量が極端にバラつかないように調整します。
熱解析やCAEを活用した設計が良いと分かっていても、導入に踏みきれなかった方もいらっしゃると思います。スーパーコンピューターを使った解析と聞くと値段が高いイメージを持たれるかもしれませんが、計算時間が短くてすむため思っているより低コストでご依頼頂けます。
モデル形状、条件をお伺いしてお見積りしますので、お気軽にお問い合わせください。