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オープンソースのプログラム「ParaView」を使えば、無料で解析結果を見ることができます。通常は解析ソフトに結果を見るためのビュワーソフトが付随していますが、「ParaView」の利用により解析を実行するパソコンと、解析結果を見るパソコンとに機能を分けることが可能になります。
そのため、解析をスーパーコンピューターで実行して、解析結果をオフィスのデスクトップパソコンで確認するといったことも「ParaView」を使えば可能になります。また、解析をKDYエンジニアリングのような並列コンピューティングを保有する組織が実行し、その解析結果をお客様が自社内で確認することも可能なので、CAE受託サービスが有効に活用できるようになります。
このページでは、「ParaView」でどのように解析結果を見ることができるのか紹介しています。「ParaView」はアメリカ国務省のプロジェクトで、ロスアラモス国立研究所などが開発を担当しました。並列コンピューティングと相性が良いことから、大学や研究機関で使われていますが、もちろん個人利用することもできます。
ParaViewnの起動画面
3Dで解析結果を見るためには、ある程度のスペックがパソコンに求められます。「Paraview」をインストールするパソコンにはグラフィックボードが必要になるため、家電量販店などで購入したノートパソコン等では性能が不足している可能性があります。
パソコンの構成表でグラフィックボードがCPUと別に搭載されていることを確認しましょう。「インテル HD グラフィックス 500 」のように記載されているものは、CPU内蔵なので「ParaView」を使うのは難しいかもしれません。
グラフィックボード(GPU):GeForce
CPU:Core i3以上
メモリ容量:8GB
上記のスペックであれば、問題なく「ParaView]が使えることを確認しています。ドスパラやマウスコンピューターなどのBTOメーカーからの購入がおすすめです。
スマートフォンの落下試験の衝撃を解析して、その結果を表示しています。「ParaView]を使えば、時系列に解析結果を見ることができるので、どのように落下の衝撃が伝わるのか可視化して表示することができます。
「Paraview」の使い方については少し練習する必要がありますが、直感に従って操作できるため解析結果を見るだけであれば、すぐに使えるようになります。
スマートフォン落下試験1
スマートフォン落下試験2
スマートフォン落下試験3
スマートフォン落下試験4
断面の応力も確認することができます。任意の点の応力を可視化して、さらに数字で確認できるので、例えば割れやすいガラス端部にかかる応力を知りたいといった時に、その点の応力をグラフにして表示できます。
下図のスマートフォンは内部のコンピューターを簡略化した3Dモデルですが、内部のパーツを3DCADで作り込めば、パーツ1つ1つにかかる応力を確認することもできるようになります。
断面の応力
落下時の応力可視化
下のグラフは時間経過による応力変化を示しています。落下してすぐに大きな応力が掛かり、その後一旦応力が減ってから再び応力が掛かることが分かります。任意の点の応力を数字で確認することもできます。
横軸は時間(秒)、縦軸は応力(Pa)です。グラグを見ると、落下によるガラスの割れは落とした瞬間に生じる可能性が高いことが分かります。
時間経過による応力変化
「ParaView」を使えば、構造解析だけれはなく流体解析などの解析結果も可視化することができます。流れを可視化できるため、例えば配管の合流部での圧力や流体の流れ等を確認できます。
流体解析も時系列にデータを表示できるため、例えば圧力が変動した場合の水撃作用(ウォーターハンマー)の解析では、配管が水撃によって損傷を受けないかどうか確認することができます。
管内の流速1
管内流速2
上図では断面図を表示していますが、「ParaView」上では3Dモデルを回転させながら圧力や流速、乱流の有無などの解析結果を見ることできます。流体解析により、見ることのできない流体の流れも可視化できるため、これまでにできなかった水撃作用による影響の調査と解決策の検討が可能になりました。
合流部の流れ
配管合流部
「ParaView」は無料で利用できるソフトであるため、解析を行うパソコンと結果を見るパソコンを分けることができます。一台のパソコンで解析を結果表示までを一貫して行うと、解析中は他の仕事にパソコンを使うことができなくなります。また、大規模な解析であれば10時間以上他の仕事に使えなくなってしまうかもしれません。
並列コンピューティングによる解析が可能になった現在は、大規模な解析を得意とするパソコンと、結果を表示して検証するパソコンとに分けることで設計をより効率的に行うことができるようになります。
KDYエンジニアリングのCAE受託サービスをご利用いただく場合は、解析結果をデータでお渡しできるので、「ParaView]が使えるパソコンであれば結果を見ることができます。より詳細な解析結果の検討が可能になるので、興味のある方は「ParaView」を試してみてください。
KDYエンジニアリングでは、CAEによる設計支援サービスを行っています。CAEを使いこなすのは難しそうだと感じているお客様をトータルサポートでお手伝いします。
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解析の対象形状や設計の目的についてお気軽にご相談ください。構造解析・熱解析・流体解析などのサービスを組み合わせて、最適な解析をご提案いたします。